前回消費税を納めなければならない個人事業主に関しての記事を執筆しました。
今回は、消費税を支払う計算方法の2種類「簡易課税」と「一般課税」について簡単にご説明したいと思います。
「簡易課税」を選択できる条件2つ
まず一つ目、簡易課税制度を選択する場合、税務署に
「消費税簡易課税制度選択届出書」を適用を受けようとする年の前年の末日までに提出しなくてはいけません。
例えば個人事業主が受ける場合、受けたい年の前年の12月31日までに提出しないといけないということです。
提出をしていない場合は選択をすることが出来ないので要注意です。
そして二つ目は課税事業者の基準となる2期前の課税売上高が5000万円以下であることです。
一度簡易課税制度を選択した場合は
最低2年は簡易課税を続けなければなりません。
ですので、選択する際は先を見越して選択する必要があることを頭に入れておきましょう。
(また、やめようとする時も同じく税務署に「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなくてはなりません。こちらも適用を受けたい年の前年の12月31日までに提出しなければなりません。)
簡易課税の計算方法
簡易課税の計算方法ですが、業種ごとに「みなし仕入率」が決まっていて、売上にかかる消費税から売上にかかる消費税×みなし仕入率を引いた金額が納める消費税になります。
計算式
売上にかかる消費税ー(売上にかかる消費税×みなし仕入率)=納める消費税
つまり、仕入の額をいちいち計算しないで、業種で仕入の率を決めてしまって計算するだけ、と、計算を簡易的にしたスタイルになります。
みなし仕入率は、卸売業は90%、小売業は80%、農業や建設業は70%、飲食店などが60%、運輸通信・金融保険などが50%、不動産業が40%、全部で6段階に分かれています。
図(平成30年4月1日現在法令等)国税庁のHPより
例えば売上高が3240万円(税込)だった場合。
売上にかかる消費税は240万円です。
もし、みなし仕入率が70%なら、240万円×70%で、168万円が仕入にかかった消費税という風に計算します。
ですので、240万円―168万円=72万円がおさめる消費税となるわけです。
一般課税の計算方法
一般課税の場合は、売上にかかる消費税から実際に1年間に支払っている消費税の額を引いた額を納めます。これは単純にすべての経費(税抜)の総額に消費税率をかけた金額ではありません。
経費であっても、消費税がかからない経費もあります。
ですので、会計ソフトなどがある場合はよいのですが、ない場合は要注意となります。
計算式
売上にかかる消費税―仕入や経費にかかる消費税=納める消費税
【参考】消費税がかからない主な取引
人件費 通常の給与&賞与、退職金
接待交際費 お祝い金、香典、商品券、ゴルフ利用税
法定福利費 健康保険、厚生年金など
手数料 クレジット手数料
租税公課 税金関連の支払(所得税、法人税、住民税、固定資産税、印紙税等)
賃借料 住宅の家賃、更新料(1カ月以上)、礼金、地代
その他 貸倒引当金繰入額、有価証券売却損・評価損、保険料、寄付金、会費、支払利息、減価償却費など
※海外に関わる経費・・・国際郵便、国際電話、海外出張、社員旅行(海外)等
一般課税の計算式は上記の通りですが、上記の通り計算できるためには、
課税売上割合が95%以上で
なおかつ課税売上高が5億円以下
である場合となります。
課税売上割合が95%未満(アパート経営をしている会社によくみられる、いわゆる消費税を払わなくてよい売上)であったり、
課税売上高が5億円を超えている会社に関しては、別途計算方法が2つにわかれます。
(個別対応方式及び一括比例配分方式)
が、またこちらは後日触れたいと思います。
結局、簡易課税と一般課税どちらがお得なの?
ということで、結局のところどちらが有利か?というと、
利益率が高い業種は簡易課税が有利とされています。
ただ、高額な機械などを購入した場合はみなし仕入率より実際の課税仕入れ率のほうが高くなることもあるので、
そういった大きな設備投資があることが分かっている場合は一般課税のほうがよいでしょう。